大会実行委員長の挨拶
大会実行委員長:勝野正章(東京大学)
Ⅰ.大会概要
(1)大会テーマ・趣旨
「学校教育の変革主体としての教師」
近年、学校教育の変革主体としての教師を表現する言葉として、「教師エージェンシー」が用いられている。その意味は論者によって異なるが、G.ビースタ(Biesta)らが提唱するエコロジカル・アプローチは、教師エージェンシーを個人の能力として捉えるのではなく、個々人の能力と環境条件の相互作用の結果として捉える点に特徴がある。
翻って、教師教育という時、我々は教師の「資質」や「能力」を、あたかも個人の持ち物であるかのように捉え、それを増大させることをイメージしているのではないか。近年における教師教育政策や制度改革も、個々の教師の「資質」や「能力」を育てるという考え方の束縛から逃れられず、協働することさえも協働する「資質」や「能力」のように扱っているように思われる。
「教師エージェンシー」へのエコロジカル・アプローチや「同僚性」「専門家共同体」「専門家の学習共同体」「組織学習」といった理論には、「資質」や「能力」をそのようなものとして捉え、教師の「主体性」を個人へと還元してしまう前提を再考し、その限界を明らかにするための契機が含まれている。エコロジカル・アプローチによれば、子どもや同僚、保護者、地域の声を聴くことと、教師エージェンシーを高めることは相即的な関係にあることになる。こうした観点から、本大会の研究発表・協議の全体を通して、現代学校教育の変革主体としての教師を探究したい。
開催概要
名称 | 日本教師教育学会 第33回研究大会 |
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主催 | 日本教師教育学会 |
会期 | 2023年9月30日(土)・10月1日(日) |
会場 | 東京大学大学院教育学研究科 (本郷キャンパス:東京都文京区本郷7-3-1)一部オンライン開催 |
日本教師教育学会 第33回大会実行委員会
委員長 | 勝野正章 (東京大学) |
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事務局長 | 浅井幸子 (東京大学) |
実行委員 | 有井優太、有間梨絵、小田郁予、影山奈々美、小沼聡恵、李愛慶 (五十音順) |
協力 | 未定 |